カオソーイ巡り旅⑤遂に最終章!カオソーイの源流に迫る幻の麺料理『パーパーソーイ』


ปาปาซอยเนื้อ パーパーソーイ ヌア
雲南餅切麺の牛肉入り・カオソーイスープ

ホントは1月中に終わらせるつもりだったんだけれど、インフルを患ってしまい1週間ほど寝込んでしまったので、更新が予定より遅くなってしまった。

一ヶ月以上に渡って掲載して来たけど、今回でこのシリーズもやっと終わり。

チェンマイで出会ったこのお店が、僕の「カオソーイ巡り旅」の最終章となったのだった。

屋号もない。看板もない。地図を見ながら行ったけど、探すのは非常に困難だった。

初めに行った日は、あいにく日曜日でお店は休み。

おばあちゃんが眠そうにヒジャブもせずに奥から顔を出し、「明日ならやってるわよ!」と一言。仕方ない。
ここでこのお店を抜かすわけにもいかないので、性懲りもなくまたまたやって来たのだった。


店内は非常にシンプル。っていうかふつーのタイの田舎町の雑貨屋のような雰囲気。店主のおばあちゃんがほそぼそとやっている店だけど、知る人ぞ知る評判のいいお店らしい。

メニューを見ていただくとわかると思うけど、耳慣れないメニューがある。「パーパー」。これはなんだろう?

実はこの料理が、「カオソーイ」とは元々どういう料理なのか、そのヒントを示す重要な一品となるのだった。


はいこれ!「パーパー」とは麺の種類のひとつなのだ。雲南省から伝わって来たというこの麺は「セン・パーパー」と呼ばれる。

うるち米か、もち米か…。それら餅のように固めて、細長く切りそろえたような形状をしている。

タイ北部では、細々と一部の人たちによって作り続けられているらしい。幻の麺と言っていいだろう。


それを、普通の麺と同様にお湯で湯がき、カオソーイのようにカレースープで作ってくれる。「パーパーソーイ」と呼ばれる麺料理の完成だ。


じゃじゃん!これ!スープはカオソーイのスープと同じ。「日常食」としてのカオソーイと同様の、マイルドな味わいだ。

パーパーソーイには、カオソーイではお馴染みの「パリパリ麺」が上に乗っかることはないみたい。やはりあれは新しい要素なのだろう。


他にも「カレー麺」みたいな表記もあるし気になるね!
完全に一見さんだったけれど、毎日のように通いたいお店だなぁ。


麺を持ち上げてみる。太くてちょっとうどんのようにも見えるけど、食感はうどんとは違っていて、噛みごたえのあるモチっとした食感が特徴的だった。


最後は具材も込みで、ドアップで。

「カオソーイ」という言葉を、料理をを知らないタイ人が聞くと「え?ご飯ものの料理?」と思うらしい。「カオ」はご飯という意味だし、「ソーイ」は「細切りにする」といった意味なので、米でも細切りでもないカオソーイがどうしてこんな名前なのか、不思議に感じるそうなのだ。

しかし、雲南由来のこの「セン・パーパー」を見てみると正に言葉通り。「米」を「細切り」にして作った麺料理ではないか!!

なので、こういう推測をしてみた。

もともと雲南から来た「セン・パーパー」という麺は、カレースープでもなく揚げ麺が乗っかったものでもなかったけれど、雲南からタイにやって来た。セン・パーパー自体は一部の地域を除いて現在ほとんど見かけないけれども、「パーパー」という言葉を知らない人たちはそれを「カオソーイ(米切り麺)」と呼称。麺料理自体にパーパーを使わなくなっても、料理名として「カオソーイ」という名前は使い続けた。「セン・パーパー」自体はそれとは別に、完全に廃れることなく北タイの一部のホー族のコミュニティで食され続けたのだろう。

雲南により近い、ラオス国内では本来の料理に近い肉ミソスープのスタイルで食べられているけれど、タイ国内に移住した中国系ムスリム(ホー族)は、南下した際ミャンマー等のカレー文化とふれあい、カオソーイのスープはカレー化。さらにムスリム食の影響でラマダンの後に食べるスナックのようなもの(揚げ麺)をカレーソースの上にトッピングすることも一般化し、現在のカオソーイになった…のではないだろうか。

この話に足りないのは…ミャンマー料理としてのカオソーイだね。カオソーイにおける「カレー味」の源流だ。
「オンノ・カウスェーအုန်းနို့ခေါက်ဆွဲ」 と言うらしいけど、食べられる日は来るのだろうか…。

ゴールデン・トライアングル同様、タイのカオソーイは中国・タイ・ミャンマー、三つの源流からできている料理なんだと思う。

「普段とちょっと違うタイプのカオソーイが食べたいな〜。」という思いだけで北タイに赴いた今回の旅は、いつの間にかカオソーイの源流はなにか?を探る旅となった。

そして今、まだまだ完全では無いけれど、その終着点に立つことができたような気がする。

麺料理一杯で、歴史と、宗教と、食文化を感じさせる、そんな旅になった!!いや〜超大作だわこれは。

全部で5話というながーいお話、全部読んでくださった方がもしいたら、長い間お付き合いいただきありがとうございました!!! 厚く御礼申し上げます!!m(_ _)m

カオソーイ巡り旅 〜終劇〜 !!!

お店の場所と地図

店名: カオソーイパープラパイ(ข้าวซอยป้าประไพ)
営業時間: 10:00 – 17:00 (日曜休) ※材料がなくなったら店じまいするので、昼飯時に行くことをお勧めする。
第4話で紹介した「カオソーイパーパイ」というお店とは、名前もお店の場所も似ているので要注意!!
(なんで似ているのかは詮索しません…。)
お店には看板も屋号も無い。タウンハウスの地味な店構えなので、初見だと目の前まで行ってもたどり着くのが難しい。

 

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2011年、タイ在住の頃にブログを開設。現在は日本に帰国し九州地方に生息中。(実家は京都なので、京都のタイ料理屋を巡るのも趣味。)現在も年に1回はタイに遊びに行き、美味しいものを食べ歩いている。

 

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