バンコク「クックショップ」巡り⑴ 60年続く老舗店の牛タンシチュー『サトゥーリンウア』


สตูว์ลิ้นวัว サトゥーリンウア
牛タンシチュー

昔、タイの「教育ラジオ局(日本のEテレのラジオ版みたいなもの)」のとある番組に出演していたことがある。

出演、といっても大したものでは全然なくて、ラジオ放送自体も誰が聞いてるのかわからない、かなり地味な放送。
それでも収録する為にはバンコクに行かなければならなくて、パヤタイにあるラジオ局に足繁く通っていた時期があった。

そんな懐かしのラジオ局のすぐ近くに、知る人ぞ知る老舗店があるらしい。
そう聞いて、行って来たのがこのお店。

「チャイロート」というお店だね!


バンコクには過去に「クックショップ」と呼ばれた洋風の料理を出すお店がいくつかある。

「クックショップ」というのは海南出身の華僑が始めた洋食屋のこと。

第二次世界大戦前、海南島出身の中国人たちは当時の主人であった西洋人のお抱えシェフとしてタイにやって来た。

当初は西洋のレシピを忠実に作っていたんだけれども、時の流れとともにレシピが変化。日本の「洋食」が日本人の舌に合った料理になったのと同様、彼らの料理も徐々に中華風の味わいを持つ西洋料理へと変化して行った。

その後、シェフたちは独立。

恐らくこれが「タイ洋食」の始まりなんだろう。西洋料理と中華の要素を併せ持つ「クックショップ」と呼ばれるお店が生まれたのだった。

こういうタイプのお店は、現在のバンコクではどの店も「老舗」に位置付けられるレストランになっている。
古〜い店構えのお店が多いのだ。

バンコク、クックショップ巡り。一番初めに選んだのがここ「チャイロート」だった。

「クックショップ」の中でも、この「チャイロート」は特に昔から雰囲気が全然変わらないお店らしい。

外から見ると、果たしてここが食堂なのかなんなのか、判別することも難しい。
でも、昼飯時にはお客さんがそれなりに入っているので、「あ〜レストランなんだな」とかろうじて判別できる。

そんな来るものを拒む? 要素もあるお店なんだけれど、いざ中に入ってしまうと妙〜に落ち着く。
60年前のバンコクにタイムスリップしたような。時が止まってしまったかのような。

ノスタルジックな雰囲気のあるお店なのである。


せっかくなので、「タイ中華系洋食」の代表的なメニュー(だと自分で勝手に思っている)を一品注文してみた。

それは、「サトゥーリンウア」。「サトゥー」というのはシチューのことで、「リンウア」というのは牛の舌。
つまりは「牛舌肉のシチュー」。牛タンシチューのことだね。こういう古いお店でメニューに置いてることが多い。

西洋料理でもあり、中華料理でもあり、タイ料理でもある。そんな不思議なメニューが「サトゥーリンウア」だと思うのだ。


流石に何年も続く老舗店のタンシチューだけあって、見た目の豪華感は抜群。(「街かどタイ料理」としての視点で、だけど。)
ごろっと大ぶりの牛タンは肉厚で、食欲をそそられるね。


パクッと食べてみた。うん、とっても柔らかい!

日本人でもなんとなく懐かしくなってしまう、優しい味。
小学校の頃、給食で食べたシチューは、こんな味だったような気がするなあ。

優しい味付けに癒される!!

このお店は、タンシチュー以外の料理もどれもクオリティが高くて美味しい〜。

どんどん開発・再開発が繰り返されるバンコクだけれども、いつまでも変わらず営業を続けてほしいなぁ。

お店の場所と地図

店名: チャイロート(ร้านไชยโรจน์)
営業時間: 11:00〜20:00 日曜休み
BTSパヤタイ駅から歩いて3分くらい。

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2011年、タイ在住の頃にブログを開設。現在は日本に帰国し九州地方に生息中。(実家は京都なので、京都のタイ料理屋を巡るのも趣味。)現在も年に1回はタイに遊びに行き、美味しいものを食べ歩いている。

 

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